築40年が経過した建物、いつまで安全に利用できる?
新耐震建物の"耐久性調査"で長寿命化とコスト削減を実現!
2025年11月11日更新
―旧耐震から新耐震へ、"次の課題"は建物の寿命
1981年以降の「新耐震基準」で建てられた建物は、全国で築40年を迎えています。「新耐震だから大丈夫」と思われる方も多いかもしれません。
しかしここ数年、実際には、新耐震建物でも劣化が進行しているケースが増えています。
特にRC造(鉄筋コンクリート造)の建物は、外観がきれいでも、コンクリートや鉄筋に劣化が生じている場合があります。
この劣化を見逃すと、建替えや補修コストの増加、さらには安全性の低下も懸念されます。
建替えは巨額投資になる傾向が多いことから、「まだ使える建物」を見極めて修繕・再利用することは、コストや環境など様々な面で、これからの時代に合った手法です。
そこで注目されているのが建物の「耐久性調査」です。今回は「耐久性調査」について、メリットや注意点を分かりやすく解説します。
新耐震建物を利用・保有・管理されている方や、建替えを検討中の方は、是非ご一読ください。
目次

1.耐久性調査とは
耐久性調査とは、鉄筋コンクリート建造物(RC造)の既存建物において、建築時から年数が経っている・老朽化が進んでいる建物を対象に、建物を支える構造部材(コンクリート・鉄筋など)の状態を調べ、「どの程度劣化が進んでいるか」「あと何年安全に使えるか」などを評価する調査です。人間でいう「健康診断」のようなものであり、見た目では分からない内部の状態を調べ、「どこを治せば長く健康に過ごせるか」を明らかにします。
特に築40年以上のRC造建物では、外観上問題がなくても内部では劣化が進行している場合があります。耐久性調査によって、的確に現状を把握し、修繕計画を立てること可能になります。

2.主な調査手法とポイント
耐久性調査には、いくつかの代表的な手法があります。ここでは、RC造建物で多く実施される3つの手法をご紹介します。
①鉄筋かぶり厚さ調査(非破壊・破壊法)
鉄筋をどれだけコンクリートが覆っているかを測定します。かぶり厚さ(鉄筋の外側からコンクリート表面までの最短距離)が不足していると、鉄筋が酸化・錆びやすくなり、建物の耐久性に影響します。なお、測定方法は2つあります。
○破壊法:壁・コンクリートをはつり、実際に一部を露出させて直接的に調査し確認する
○非破壊法:鉄筋探知機やX線を使用し、配筋状況を間接的に調査する
<どちらが推奨?>
鉄筋状態を直接確認できる「破壊法」は、「非破壊法」と比較して正確なかぶり厚さが測定できます。一方で、「非破壊法」は間接的にかぶり厚さを測定できるので、スムーズな調査が可能です。
実施の際には、対象となる建物の状況、工期、費用などを調査の専門家に伝えたうえで、どちらの手法がベストなのかを相談すると安心です。

②コンクリート中性化試験
採取したコンクリートにフェノールフタレイン溶液をかけて、中性化の進行度を測定します。フェノールフタレイン溶液は、アルカリ性に反応すると赤紫色に変化します。また、コンクリートは元々アルカリ性です。つまり、コンクリートにかけて無色になる部分が多ければ、劣化が進んでいると判断されます。鉄筋の腐食リスクが明らかになる、重要な検査です。
<コンクリートが中性化するとどんな悪影響が出る?>
築年数が経過すると、建物の外側・内側それぞれから二酸化炭素が壁を通過し、コンクリートに到達します。すると、アルカリ性のコンクリートが中性化されていきます。この状態が続くと段々と中性化が進み、接触する鉄筋まで影響が及びます。鉄筋が錆びて腐食が進むと、最悪の場合かぶりコンクリートや鉄筋が落下するなど、建物全体に被害が広がる恐れがあります。

③ひび割れ・漏水・浮きなどの現地観察
外壁やスラブ(床)などに発生したひび割れや浮きを調査します。表面的なひび割れが、内部の劣化や構造欠陥のサインであることもあります。
これらの結果を総合的に分析することで、建物の"現状の健康状態"と"今後のリスク"を見える化することができます。
3.耐久性調査で得られる3つのメリット
では、実際に耐久性調査を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主に3つのメリットが挙げられます。
①建物の寿命を"見える化"できる
建物の耐久性を定量的に評価することで、 「あと何年使えるのか」「修繕で延命できるのか」が明確になります。
計画的な維持管理が可能になり、コスト削減が期待できます。
②建替え・修繕の判断材料になる
調査結果をもとに、「どこを直せばいいのか」「建替えるべきか」を合理的に判断できます。
資金計画や長期修繕計画を立てるうえでもとても有効です。
③コストにも環境にも優しい
建替えを回避できれば、解体・新築に伴う資材・廃棄物の発生を抑えられます。これはこれからの時代、SDGsやカーボンニュートラルの観点からも重要です。
また、建材費も高騰する世の中です。「壊す」より「活かす」ことで、「コスト削減」「環境保全」「建物の長期利用」の実現が可能になります。
4.耐久性調査の注意点
建物の耐久性調査は、「どのくらい傷んでいるか」を調べるだけでなく、建物を長く安全に使い続けるための"判断材料"を得るための調査です。
しかし、調査の実施方法や報告書のまとめ方によっては、結果を十分に活かせない場合もあります。耐久性調査を検討・実施する際に注意すべき3つのポイントを紹介します。
①建物の状態や調査範囲・方法を建物の状況に合わせて選べているか
耐久性調査は、建物の現状を確認したうえで、調査範囲・手法を決定していくことが重要です。
築年数が進むと、部位ごとに劣化の進行度が異なるため、画一的な調査では実態を正しく把握できません。
特に、雨水や紫外線の影響を受けやすい外壁・屋上・バルコニー・設備周辺は重点的な確認や、別途調査が必要になる可能性もあります。
過去の補修履歴や図面情報を整理した上で、劣化リスクの高い箇所を優先的に調査することで、費用対効果の高い計画を立てられます。
②劣化の"原因"まで特定できるかどうか
調査でひび割れや鉄筋の露出が確認できても、「なぜ劣化が起きたのか」が判断できなければ、再発防止策を講じることが困難です。
例えば、コンクリートの中性化や塩害、凍害など、原因によって必要な補修方法や材料の選定が大きく異なります。
目に見える損傷だけでなく、内部の劣化要因を把握することで、修繕後の耐久性も大きく変わります。
耐久性調査を依頼する際は、単に調査だけでなく、原因分析なども判断してもらうと安心です。
③調査結果を維持管理計画に活かせる形にしてくれるかどうか
せっかく調査を依頼しても、専門用語が多く解説が少ない調査報告書では、その先の維持管理計画に活かすことが困難になってしまします。
「次に何をすべきか」が分かる報告書が理想です。
劣化の深刻度や補修の優先順位、調査頻度の目安など、今後の維持管理計画に直接活用できる内容を提案してもらうことで、調査の価値もぐっと高まります。
単なるデータ収集で終わらせず、長期修繕計画や資産価値維持につなげる視点が重要です。
5.まとめ
これまで多くの企業や自治体では、旧耐震建物の耐震診断を中心に進めてきました。 しかし、新耐震基準になり40年以上が経過した今、新耐震建物の老朽化が新たな課題となっています。
築40年以上を迎える新耐震建物は増加しており、今後10〜20年で耐久性調査が必要となる建物はさらに増加するでしょう。
耐久性調査で早めに現状を把握することで、将来的な修繕費などを抑え、安心・安全な建物の利用継続が可能となります。建物も人と同じく、定期的な健康診断が大切です。
劣化の進行を正確に把握し、早めに対処することで、建物の寿命を延ばし、資産価値を守ることができます。建物の"健康診断"を実施して、長寿命化を目指しましょう!
耐久性調査は「構造調査設計事業部」にお任せください!
東京ソイルリサーチが力を入れているのは地盤調査だけではありません。
50年の歴史をもつ、構造調査設計を専門・得意とする"構造調査設計事業部"が、日本各地の建築構造物を全力でサポートしています!
長年、建築構造物とも向き合ってきた私たち。もちろん建物の耐久性調査も豊富の実績があります。
お客様のニーズや建物に合わせて、多数ある調査の中から最適な調査方法を選定して行います。
調査~診断だけでなく、劣化原因の推定、考察や、それぞれの状況に合った補修などの提案まで行うことが可能です。
また、様々な資格を持った技術者が所属しているので、チームで力を合わせてスピードを止めることなく、一貫して解決まで寄り添います。
建物の耐久性に課題をお持ちの方は、是非一度ご相談ください!
▽構造物調査について知りたい方はこちらも必見です!
構造物調査のための調査・試験

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