沖縄建設ガイド Vol.1
~琉球石灰岩・島尻層群を知る~
2026年08月24日公開
2026年08月24日更新
建築計画や開発計画において、地盤条件の把握は基礎計画を進めるうえで重要な要素です。沖縄本島中南部では、「琉球石灰岩」と「島尻層群」が広く分布しており、地盤調査結果の評価や基礎形式の選定において、特有の検討が求められる場合があります。
そこで今回は、沖縄本島中南部の地盤を理解するうえで欠かせない2つの地層についてご紹介します。
目次
1.沖縄県の概要
沖縄県は、日本最南端に位置し、大小160を超える島々からなる県です。県庁所在地の那覇市がある沖縄本島をはじめ、宮古島や石垣島などの離島で構成されており、南北約400km、東西約1,000kmにわたって島々が点在しています。 本コラムで取り上げるのは、人口や建築物が集中する沖縄本島中南部です。この地域には、那覇市・浦添市・宜野湾市・沖縄市などの主要都市が位置し、「琉球石灰岩」と「島尻層群」という沖縄特有の地盤が広く分布しています。これらの地盤は、建築計画や基礎設計において重要なポイントとなります。
2.沖縄本島の地質概略
沖縄本島の地質は2つの地域に大別され、北部は「高島(こうとう)」、中南部は「低島(ていとう)」と呼びます。「高島」は、3億~5000万年前にかけて、「低島」は、500万年前~現在にかけて堆積された土壌です。
右図において、黄色の古い地層が「高島」、水色の若い地層が「低島」になります。
3.沖縄本島中南部を構成する2つの地層
現在の那覇市、浦添市、宜野湾市、沖縄市など、多くの市街地・開発地域は「中南部」に位置します。このエリアの地盤は、主に「島尻層群」、「琉球石灰岩」の2つの地層によって構成されています。右図を見ると、薄緑色で示されている琉球石灰岩と、青色で示されている島尻層群から成り立っていることが分かります。
島尻層群とは
島尻層群は、中国大陸由来の砂や泥が海底に堆積して形成された地層です。 主に泥岩や砂岩から構成されており、その層厚は1,000mを超えるともいわれています。沖縄本島中南部の基盤を形成する重要な地層であり、県内における最も安定した地盤と評価されます。 構造物の規模や荷重条件によっては、この島尻層群まで到達して支持層を確認することが重要になる場合があります。
琉球石灰岩とは
琉球石灰岩は、サンゴ礁や貝殻などの石灰質生物が堆積して形成された地層です。沖縄本島中南部に広く分布しており、現在見られる台地や段丘地形の多くは、この琉球石灰岩によって形成されています。一般的な石灰岩と比べて地質学的に新しく、約170万~10万年前に形成された比較的若い地層であることも特徴です。また、帯水層(水を保水する地層)としても知られています。
4.琉球石灰岩が地盤評価を難しくする理由
琉球石灰岩の最大の特徴は、「その状態や硬さのばらつきが大きいこと」です。
同じ敷地内であっても、
✅硬く固結した岩盤状の部分
✅砂礫状の未固結部分
✅空洞
✅亀裂(フィッシャー)
✅粘土が充填された空隙
などが複雑に分布しています。そのため、標準貫入試験によるN値も大きく変化し、本土で見られる一般的な地盤と比較して評価が難しい場合があります。

5.なぜ沖縄では地盤調査が重要なのか
沖縄本島中南部では、一般的に
表土(堆積土砂)
↓
琉球石灰岩
↓
島尻層群
という地盤構成が見られます。しかし実際には、
✅琉球石灰岩の層厚
✅固結部の連続性
✅空洞の有無
✅島尻層群までの深度
などが場所によって性状や硬軟が大きく異なります。
そのため、「石灰岩が確認された=支持層」とは限らず、建物規模や基礎形式を考慮しながら地盤条件を総合的に評価することが重要になります。
Q.
琉球石灰岩が確認された場合、そのまま支持層として考えてよいのでしょうか?
A.
琉球石灰岩は強固な岩盤として確認される場合もありますが、固結状態や連続性、空洞の有無によって評価が異なります。低層程度の建物では支持層となりえますが、中~高層建物ではその限りではありません。
また、建物規模によっては島尻層群まで含めた確認が必要となることもあります。計画地ごとの地盤条件を踏まえた検討が重要です。
6.沖縄地盤ワンポイント
「石灰岩=支持層」とは限りません。沖縄の琉球石灰岩は
✅固結部
✅未固結部
✅空洞
が複雑に分布することがあります。 そのため、「石灰岩があるかどうか」ではなく、「どのような状態の石灰岩なのか」を評価することが重要です。沖縄案件では、琉球石灰岩と島尻層群の関係を含めた地盤評価が求められます。
硬軟差が激しいため、孔内載荷試験等での評価は難しく、標準貫入試験とその際の採取試料の状態での評価が一般的です。

次回予告
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