沖縄建設ガイド Vol.3

沖縄で建設する前に必要な地盤調査とは?~失敗しない調査計画のポイント~

2026年10月09日公開
2026年10月09日更新  

 

建築計画において、地盤調査は、基礎工法や建物の安全性を検討するための重要な工程です。
前回は、沖縄で採用される主な基礎工法と支持層の考え方についてご紹介しました。
今回は、その基礎計画を支える地盤調査に焦点を当てます。
沖縄本島中南部では琉球石灰岩が広く分布していますが、同じ敷地内であっても地盤状況が大きく変化することがあります。
そのため、支持層の深度や連続性を正確に把握しないまま基礎計画を進めると、追加調査や設計変更が必要になる場合があります。
今回は、沖縄で地盤調査が重要となる理由と、調査計画を立てる際のポイントについてご紹介します。

目次


1.地盤調査は何のために行うのか

地盤調査の目的は、建物を安全に支えることのできる地盤がどこに存在し、その地盤が建物全体を安定して支持できるかを確認することです。
調査では、地層構成や地下水位、地盤の強度だけでなく、支持層の深度や連続性、施工上の課題なども確認します。
また、建物規模や想定される基礎工法によって必要な調査内容は異なります。
そのため、調査は単に地層を確認する作業ではなく、基礎計画や施工計画につながる重要な設計条件を把握する工程といえます。

地盤調査計画立案から基礎工法決定までのフロー
地盤調査計画から基礎工法決定までの流れ




2.地盤を詳しく把握する「ボーリング調査」

建築計画で最も一般的に実施される地盤調査がボーリング調査です。 ボーリング調査は、支持層の深度や連続性、土質・岩質の変化を確認するための代表的な調査手法です。 試料の観察や標準貫入試験を通じて、基礎計画に必要な地盤情報を取得します。 調査結果は地質柱状図として整理され、基礎設計や施工計画の基礎資料となります。 沖縄では、支持層の判断や地盤のばらつきを確認するうえで重要な調査手法です。 なお、琉球石灰岩が浅部から分布する地域では、ラムサウンディング試験やスクリューウエイト貫入試験など、簡易的な調査方法だけでは地盤状況を十分に把握できない場合があります。





3.沖縄の地盤は「N値だけ」で判断できない

ボーリング調査では、標準貫入試験によってN値を測定し、地盤の強度や締まり具合を評価します。しかし、沖縄本島中南部では、琉球石灰岩の確認だけで支持層を評価するのではなく、固結状態や連続性、空洞の有無などを総合的に確認することが重要です。琉球石灰岩は同一敷地内でも固結状態が大きく変化することがあり、未固結部や空洞、亀裂を伴う場合があります。そのため、高いN値が確認されたとしても、その地盤が建物全体を安定して支持できるとは限りません。
支持層を評価する際には、N値に加えて、ボーリング時の掘進状況や採取試料の状態、地層の連続性を総合的に確認することが重要です。特に沖縄では、琉球石灰岩などの地層が不均質に分布することがあるため、数値だけで判断せず、地盤の成り立ちや連続性を踏まえた基礎計画が求められます。

琉球石灰岩の未固結部や亀裂、流入粘土を示したボーリング柱状図と採取試料
琉球石灰岩に見られる未固結部や亀裂などの例




4.調査計画で重要な「深度」と「本数」

地盤調査では、調査を実施するだけでなく、「どこまで調べるか」「何箇所調べるか」を適切に計画することが重要です。
ここでは、調査計画を立てるうえで重要となる「調査深度」と「調査本数」について、それぞれのポイントをご紹介します。

どこまで調べる? ― 調査深度


調査計画では、どこまで掘削して確認するかという調査深度の設定が重要になります。 調査深度が不足すると、設計段階になって支持層の確認が不十分であることが判明し、追加調査が必要になる場合があります。また、当初想定していた基礎形式の見直しにつながることもあります。 特に杭基礎を採用する可能性がある建物では、想定される支持層まで十分に確認しておくことが重要です。中・高層建物では、早い段階で支持層の位置や性状を把握することが、設計やコストの最適化につながります。

琉球石灰岩で支持層の確認が不十分な場合に生じる基礎工法のトラブル例
支持層の確認が不十分な場合に想定されるトラブル例

何か所調べる? ― 調査本数



適切な調査深度と同様に、調査本数も重要です。 地盤は必ずしも均一ではなく、同じ敷地内でも支持層深度や地層構成が変化することがあります。 特に沖縄の琉球石灰岩は場所による変化が大きく、空洞も存在するため、1本の調査結果だけでは敷地全体の状況を把握できない場合があります。 そのため、建物規模や配置、想定する基礎工法を踏まえながら、必要な調査本数や調査位置を計画することが重要です。 調査計画の段階で地盤のばらつきを適切に評価できれば、設計段階での手戻りや施工時のリスク低減につながります。

5.沖縄で地盤調査を行う際の注意点「磁気探査」

沖縄県をはじめ、旧軍施設跡地など一部地域では、ボーリング調査など地中を掘削する際に、不発弾等の埋没リスクに配慮が必要です。当社では、調査作業員の安全確保のため、ボーリング調査に先立って磁気探査を実施しています。磁気探査の実施時期によっては調査工程に影響するため、地盤調査の計画段階であらかじめ確認しておくことが重要です。
なお、ボーリング調査前の磁気探査は、調査孔周辺の安全確認を目的としたものです。本工事前に実施する磁気探査とは目的や対象範囲が異なるため、詳細は次回ご紹介します。

ボーリング調査前に実施する磁気探査の作業および測定状況
ボーリング調査前に実施する磁気探査の様子




6.よくあるご相談

Q.ボーリング調査は何本必要ですか?

A.建物規模や配置、地盤のばらつきによって異なります。
同じ敷地内でも地盤条件が変化することがあるため、建物計画と地盤条件の両方を踏まえて計画することが重要です。建築学会では、おおまかに2つに地層構成の傾向を分け、「地層構成に変化がない地盤」は少なく(50mピッチ)、「地層構成が変化している地盤」では多く(20~25mピッチ)調査をするという考えです。
沖縄は海岸線から内陸までの距離が平均的に近いため、「地層構成が変化している地盤」の割合が多くなること、琉球石灰岩のように硬軟差が激しい地層があること等から、一般的な傾向より多めの調査箇所を見込む事をお勧めします。
※ただし、箇所数を多くしても、琉球石灰岩の空洞の位置や分布を正確に捉えることはできません。調査結果から、直接基礎とし現場状況で一部地盤改良を施す、より下位に杭を打設する等の判断材料としては、試料数が多い方が適正な判断に近づけるので、箇所数を多くする意義が出てくるという理屈です。

Q.調査深度はどのように決めるのですか?琉球石灰岩が確認されたら終了してもよいですか?

A.建物規模や想定される基礎工法に応じて決定します。
支持層を適切に確認できる深度まで調査を実施することが重要です。軽微な建物であれば、硬軟差があっても琉球石灰岩までの確認で十分ですし、高層建物であれば、琉球石灰岩が支持層になりえないケースもあり、下位の島尻層群までの確認が求められます。
低地部ではその深度は40~50mに及びます。ただ、東京や大阪等に比べると、全体に浅めの調査深度で済むことが大半です。

7.沖縄地盤ワンポイント:地盤調査は「設計のスタートライン」

沖縄の地盤調査で重要なのは、単にN値や地層名を確認することではありません。 支持層の位置や連続性、地盤のばらつきを把握し、建物に適した基礎計画につなげることが本来の目的です。早い段階で適切な調査計画を立てることで、設計変更や追加調査のリスクを低減し、より安全で経済的な建設計画につなげることができます。
具体的な調査計画は、建物規模・レイアウトなどの詳細が分かれば、その都度ご提案していますので、遠慮なくご相談ください。

沖縄案件に関するご相談は東京ソイルリサーチ・沖縄営業所へ!

東京ソイルリサーチ沖縄営業所では、地盤調査の計画段階から、基礎・支持層に関するご相談、各種試験・評価まで幅広く対応しています。

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